50年間シンプルライフを貫いた母と、シンプリストになれなかった私 | ふるものせいかつ図鑑

50年間シンプルライフを貫いた母と、シンプリストになれなかった私

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ゴミ類
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99%はもらいもの・古道具・中古品で暮らしています。かねこと申します。DIYなど「ものづくり」も大好き!日用品から家具や「もらってきたもの」までいろんなふるものせいかつをブログで綴っております。
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インスタグラム:furumono_kaneko

「シンプル」。

ここ数年、頻繁に耳にする言葉です。

最近では、雑誌やブログでも そんな言葉で暮らしやインテリア、考え方を表すのに よく使われていて、とても人気がありますよね。

なんでも簡素化、多くのものを必要としない時代の流れなんだなぁと感じています。

このインテリアブログサイト「ふるものせいかつ図鑑」を書いております かねこは 実は人生の大半を「シンプルライフ」と共に過ごしてきました。

なかば、強制的に。

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 シンプリストな母とわたし。ふたりの生活

古い市営団地の一室に、わたしは母とずっと二人で暮らしていました。

ふたりで のほほんと生活していましたが、母はズバリ「シンプリスト」

余計な飾りのついたモノはいらない。
自然素材の生活用品以外置かない。
色は ナチュラル色しか家に入れない。
過去は振り返らない。

それが わたしの母です。

シンプルライフ、シンプリスとのイメージは自然で簡素化-ふるものせいかつ図鑑

シンプリストとは、生活の簡素化に努めるライフスタイルを選択した人のことを指します。不要な家具や生活雑貨などの整理整頓や断捨離を定期的に行い、簡素化、単純化、統一感を出すことを主なモットーとし、生活の量ではなく、質を高めることを目的としています。 (RED ALDERより引用)

今回は わたくし「かねこの母」についてのお話です。

※ 今回ここでいう「シンプルライフ」とはモノが極端に少ないという意味ではなく、シンプリストの定義にもある「統一感を出す」という意味合いが大きいです。

台所の棚もナチュラルカラーで整理整頓されている

母、自然素材を愛する

わたしを27歳で出産し、現在60代後半になる、かねこの母。とにかく、昔から自分が持つ「モノ」にこだわりのある人でした。

高価なものというわけではありません。 自分のそばにおいて、落ち着いて安心する「好きなもの」を大切にしていました。

彼女の嫁入り道具である洋服ダンスは素木のスウェーデン製のIKEAのもので、わたしが生まれる前から 今でも彼女の部屋で使われています。

家の他の家具も 本棚は今ではなかなか見かけない 古いガラスのはまった刑務所の作業場で作られたものでしたし、収納棚は引き出しが22個ついた古道具店で3000えんだったものでした。

どちらもだいぶ古いもので木目が黒光りしています。彼女は自分が落ちついて癒される自然素材のモノにこだわりました。

100円粘土で作ったシンプルなお家たち-シンプリストを50年貫いた母

一緒に暮らしてきた中で、台所から居間、洗面所にいたるまで かねこはプラスチック製品を見かけたことがありません。

プラスチック製品やカラフルな色味のものがあったとしても、目につかないように引き出しや台所の収納棚にしまわれていました。

家の中はほぼ木製品のみ。家具の上には人形や置物はなく、あるとしたらアメ色に焼けた籠や、その籠に入ったアイビー。やはり自然色のみ。

わたしも「それが普通だ」と思っていたので、家具や収納品を買うときは古道具のお店で買うのが当たり前だと思っていたし、家の中というのは茶色やそれに近い色で揃えるものだと思っていました。

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 ナチュラルカラーは「地味色」ではない

30年くらい前には、母に連れられ カントリー調の輸入雑貨店によく買い物に出かけていました。なにせシンプリストですから、カントリー調インテリアの中から装飾のあまりないものを一生懸命 選んでいた母。

わたしが小学校高学年になると、無印良品の店舗がわたしたちの町にもオープンし、母は「やっと楽に商品選びができる店が見つかった」と嬉しそうでした。

当時(約30年前)はナチュラルテイストな製品が売ってあるお店は少なかったから、母が喜んだのもわかります。

海のゴミだった人形と貝殻が素敵なインテリアに-ふるものせいかつ図鑑

家の中がナチュラルな色だけって、単純でちょっとつまらない、ただ地味なだけ と思うかもしれませんが 母は言います。

「家に置いているものに全く同じ色なんてないし、木と紙でも素材が違うだけでも色がたくさんあって楽しいよ」と。

そして例えばそこに暮らす人や訪れた人がファッションで赤を身につけていたとしたら、部屋は背景になってその赤を楽しむこともできるからさみしくない とも。

100円粘土の小さなお家-シンプリストを50年貫いた母

もし差し色があるとしたら人が身につけるもので十分なのかもですね。

ファッションって色だけではなく素材や柄も明るくて楽しいから、動くことのない背景の「インテリア」にわざわざモノで差し色を入れなくても楽しめるということ。

わたくし かねこは派手な色もそばに置いておきたい派です。「シンプル」ではなくなるかもしれないけどけど、それはそれでイイはず。

シンプリストの子どもはシンプリスト?

築30年の市営団地で、そんな母が厳選したモノに囲まれて暮らすこと数年…

「気に入った木の家具を何年も長く使う、カラフルは落ち着かない、整理整頓、必要ない余計なモノは持たない」

わたしはそんなシンプリストな母をみて子ども時代を過ごしました。そしてスクスク高校生に成長。

ところが、

わたしは「シンプリスト」にはなれませんでした。いや、なりませんでした。

真逆も真逆、ゴテゴテでファンキーでロックな家具やカラフルなアメリカ雑貨に夢中!

自分の部屋はというとピンクのキングコング人形が並び、壁一面、天井にまでハリウッドポスターを貼りまくっていました。

ピンクのキングコングとフェニックスのレトロ缶バッグ-ふるものせいかつ図鑑 

モノがごちゃごちゃあって 妙ちきりんなモノに溢れた生活にハマり エンジョイしていました。

いま「シンプルライフ」を実践している方でお子さんがいる方は要注意かもしれません。

生まれてからずっと、シックな色に囲まれてモノが少ない環境にいたせいで 高校生になった わたしの憧れは、もうぜんぜん違う方向に向いてしまいました。はは…

しかも「憧れ」だけでつくった部屋ですからね、カラフルで素敵な雑貨を手に入れてもうまくインテリアとしてディスプレイできず 今思うとひどい汚部屋だったと思います。

それでも、やっぱり「自分の世界」をつくりたかったのかな。

シックなナチュラルカラーにうんざりして「色」を欲しがっていたのかもしれないし、母のつくる空間に対抗したい気持ちもあったのかもしれません。

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母、「プラスチック」を排除する

木で統一されたインテリアのナチュラルカラーのカゴと猫

母のこだわりが強いなと思った、当時の出来事があります。

ジャンクでキッチュなモノが大好きになった高校生のわたしは、ある日 お店でドラえもんとのび太のイラストが付いたショッキングピンクのコップを見つけました。

とても気に入ったのでお小遣いで買って帰って、ウキウキで毎日の牛乳やジュースを飲むのに使っていました。

するとある日。

いつものようにコップを食器棚から出そうとすると…ナイ。昨日まであったコップがない!

帰って来た母に尋ねると「ああ、あれね、うちには合わないと思うの。プラスチックだしピンクだし。だから、ここに隠してた」と言われ、普段、開けない棚の引き戸の奥から そのコップを出してきました。

わたしのテンションだだ下がり。「視界に入ると他(家具や雑貨)と合わないから」という理由で見えない場所に追いやられてた〜。わたしは怒って部屋に引きこもってしまいました。

古道具の正方形の棚は使い勝手が良い-ふるものせいかつ図鑑

今でも強烈に覚えています…くやしかったなぁ。でもそこは母のテリトリーですから、従うしかなかったです。はは。母も覚えていて、よく話す思い出話の一つです。

その後のわたしは、常に整理整頓をしている母に「片付け」の大切さを教えてもらいました。…が、うまくできず、それが劣等感になりそのうち片付け嫌いになってしまった始末。

母の所有物ではない「自分の家」に住むようになった最近になってやっと 片付けに関して柔軟な考えができるようになり、整理整頓もするようになりました。

ダイソーの材料で作ったアンティーク風オリジナル箱-ふるものせいかつ図鑑

だから、シンプルインテリア・ライフで育った人は親の方向とは反対を進みたがる時期にぜんぜん違うことをしだしてビックリさせられるかも。笑

でも暖かく見守っていてください…いずれ親に似てくる(と思います)。

逆にシンプリストやミニマリストな人は育ってきた環境が 「モノ」に溢れていた…という人が多いのかもですね。

良い悪いは一概に言えないし、すべての人がそういうわけではないですが、教えていないのに逆の方向に進むことって親子では多い気がします。

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シンプリスト、家を建てる 

そんな母が20年前に住む家を新築しました。

母の夢は木でできたログハウスのような家。雑誌に載っているような洗練されたシンプルな造りの家です。

母には毎月楽しみに読んでいた雑誌がいくつかあって、子どものわたしに見せながら「こんな家に住みたいな」とよく話をしていました。

夢の家の話をして10年後、新しく建てた家に住んだ彼女。

できあがった家は壁も床もドアもすべて木製で、吹き抜けの梁の見える天井、レンガ壁の薪ストーブ、など内装すべてが昔 母が読んでいた雑誌そのもののような家でした。

そして市営団地から移した家具は、まるでそこに合わせて選んだかのように馴染んでいました。

出来上がった家を見たとき、夢を現実にするってすごいなぁ…と単純に思いました。

半世紀を超えて続くシンプルライフの先は…

母は現在も働いていて、そのあとに作ったカフェレストランとゲストハウスなどを営業しています。まだやりたい事も叶えたい夢もたくさんあって、いろいろ話してくれます。

そんな彼女が切り盛りするゲストハウスや彼女流のインテリアについてはまた次の機会にお話しできればと思っています。

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